弁護士向け 一般の人や企業向けのわかりやすい法律記事を書くためのポイント
弁護士の先生方がホームページに掲載する記事を作成する際、以下のようなお悩みを抱えるケースがあります。 「どのように記事を書いたら問合せにつながりやすいのかわからない」
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1.専門家が陥りがちな失敗例
弁護士の先生は、サイト記事の作成に苦手意識を持っている方がたくさんいます。
パターンとしては以下のとおりです。
1-1.専門家相手の感覚で記事を書いてしまう
弁護士は普段から準備書面を始めとする法律書面を大量に書いているので文章を書くこと自体には慣れています。
しかしそれらの文章は「裁判官や相手の弁護士」相手の書面であり「専門家同士のやり取り」の書面です。
一方、サイト記事は一般の読者相手ですから、同じ感覚で書いていたら読んでもらえません。
「自分は文章が得意なはずなのに、サイト記事になると書けなくなる、書いても読んでもらえなくなる」という悩みにつながります。
1-2.極めて簡潔になってしまう
専門家が記事を書くと、「自分にとって当たり前なこと」を前提として飛ばしてしまうので、極めて簡単な内容で終わってしまうケースがあります。
そういった記事は、一般の人から見るといろいろな説明が飛ばされているので「わかりにくい」と感じます。
文字数があまりに少ないのでGoogleにも評価されず、記事の順位が上がりにくくなる場合もあります。
1-3.忙しくて更新できない
弁護士は、大変忙しくストレスのかかる仕事です。
サイト記事が集客に必要なのはわかっていても、なかなか更新できない先生が多数おられます。
記事の作成に苦手意識を持っていたら、余計に更新はしんどくなってしまうでしょう。
書かないから慣れず苦手意識が大きくなってさらに書けなくなる悪循環に陥ります。
弁護士がサイト記事を作成するときには、上記のような問題を克服していく必要があります。以下でそのための注意点を1つ1つご説明していきます。
2.専門用語を使いすぎない
まずは「専門用語」です。
弁護士の先生は、普段から当然のように専門用語を使っていますが、専門用語は一般の方に伝わりませんし、専門用語が多用されているとわかりにくくおもしろくないので、読者の離脱を招きます。
たとえば「強制執行」や「時効の完成」は、弁護士にとっては一般用語と思うかも知れませんが一般人からは専門用語ととらえられます。それより「差押え」「時効の成立」の方が伝わりやすいのです。
このような細かな配慮を行い、言い換えることによって一般読者に親しみやすい記事ができてきます。
専門用語の言いっ放しは冷たい印象を与えるので、なるべく使わないように配慮してみてください。
3.専門用語を使ったら必ず説明をつける
そうはいっても法律専門記事である以上、専門用語を使わざるを得ないケースは多々あります。
その場合には、必ず直後に説明をつけてください。
たとえば「不貞とは、法律的に不倫や浮気のことです。ただし男女の肉体関係を伴います」「欺罔行為とは、人をだますことです」などと書きます。
「不貞」や「欺罔行為」のまま放置すると、読者は半分わからないままで読み進めなければなりません。
4.見出しをこまめに作る
弁護士の先生がコラム記事を作成するとき、あまり「見出し」を作らない方がおられます。
準備書面を作成するときには細かく見出しを設定するのに、コラムとなると見出しを作らずべったりと文章を書いてしまうのです。
おそらく、「準備書面には見出しを作ってわかりやすくするもの」という感覚があっても、コラムについてはそういった意識がないためと思われます。
しかしサイト記事には細かい見出し設定が必ず必要です。むしろ相手は文章を読み慣れていない一般人ですから、準備書面よりも細かく、わかりやすくキャッチーな見出しが求められます。
5.キーワードを入れる
今のGoogleを始めとする検索システムでは「キーワード」が重視されています。これは法律記事においても言えることであり、キーワードが含まれていない記事は検索されにくいですし、アクセスも上がりません。
そこでサイト記事を作成するときには、「狙うキーワード」を決めてそれをタイトルや見出し、本文に含ませるよう意識しましょう。
たとえば「後遺障害認定 むちうち」であれば、この2つのキーワードをタイトルに入れて見出しや本文に多く入れていきます。
ただし文章が不自然になるほどたくさん入れる必要はありません。自然な感じで入れていくようにすれば十分です。
6.正確さを追及しすぎない
弁護士やその他の士業の先生は、記事を作成するとき「正確性」を追及する傾向があります。もちろん記事内容が間違っていては話にならないのでそれはとても重要なことです。
しかし正確性を追い求めるあまり、何を言っているのかわかりにくくなるケースもあり、注意が必要です。
たとえば「痴漢で逮捕された人」向けの記事を作成するとします。
具体的に何を書けば良いのでしょうか?
逮捕された後、勾留される可能性もあればされない可能性もあります。
起訴される可能性もあればされない可能性もあります。
略式になる可能性もあれば通常裁判になる可能性もあります。
罰金になる可能性もあれば懲役刑になる可能性もありますし、あるいは無罪になる可能性もあります。
そもそも認めているか否認しているかも違いもあります。
これらの問題をすべて同じようにべったり並べて説明しようとすると、痴漢に関する「辞書のような記事」になり、非常にわかりにくいのです。
確かにいろいろな可能性がありますが、「今回はその中でもどういった問題を取り上げるか」を考えましょう。
多くの人は「逮捕されない方法」や「逮捕されたときに早期に身柄を解放してもらえる方法」を知りたいと思っているので、こうした関心事のみに集中して悩みに答えた方が、アクセスが上がりやすいのです。
「他の可能性を省くと多少内容が不正確だな」と感じても、それはそれでかまいません。省いた可能性の分が気になるなら、別の記事を書いてリンクさせると良いでしょう。
7.相手が知りたいことに答える(悩みにフォーカスする)
専門家の方が記事を書くと、読者の悩みにフォーカスする視点が抜け落ちることがあり、注意が必要です。
どうしても「解説」口調になってしまい、読者が「悩んでいる人」「助けを求めている人」であることを忘れてしまいます。
それでは読者に冷たい印象を与え、問い合わせにはつながりにくくなります。ただでさえ「弁護士は敷居が高い」と思われているので、サイト記事が「冷たい印象」だと一般人はとうていメールや電話しようとは思いません。
そこでサイト記事を書くときには、親身になって相談に応じる気持ちで書きましょう。
普段相談者が来て1対1で対応するときには先生方も親身な気持ちで対応するでしょうから、顔の見えない読者相手でも同じような気持ちで記事を書くのが良いです。
読者の悩みにフォーカスすれば、相手が知りたいと思ってもいないことを解説調で延々と書いてしまうこともありません。
また専門家の個性や相談者に寄り添う姿勢が文章に表れるので、読者の問い合わせに対するハードルが下がり、案件獲得につながりやすくなります。
8.サイト管理で意識すべきこと
次に弁護士事務所のサイト管理で意識すると良いことを、いくつかお伝えします。
8-1.できれば1週間に1回は更新する
弁護士の先生は大変忙しいので「ブログ記事を更新する暇がない」と考えているケースも多々あります。
確かに忙しいのはわかるのですが、Googleその他のサーチエンジンではサイトを放置するとどんどん順位が下に下がってしまう可能性が高くなります。
よほど昔からサイトを作っていてすでに高い順位に上がっていてドメインのパワーが強くなっている場合であれば話は違いますが、最近作ったサイトで記事も入れずに放置していたら、誰にも読んでもらえません。
サイトの記事は1週間に1回は更新することをお勧めします。どんなに忙しくても1週間に1回、1記事は1000字程度でも良いので、できるだけ新記事を入れていきましょう。
8-2.検索順位の考え方
サイトを作ると「検索順位」が気になるものです。
しょっちゅう検索順位を確かめて「上がった」「落ちた」と思ってしまう先生もおられます。
確かに検索順位が上がると問合せにつながるので検索順位は重要です。
しかし検索順位ばかり気にしても急に上がるものではありません。
また検索順位には「キーワード」があり、何のキーワードで高い順位(低い順位)となっているのかが問題です。
問合せにつながりにくいワードで順位が上がっていても、あまり意味はないので、そういったワードなら検索順位が低くても気にする必要はありません。
重要なのは、問い合わせにつながりやすいワードを探してそこで順位を上げていくことです。
いろいろな法律解説記事を書いているうちに、だんだんと全体的にサイト記事の順位が上がっていくこともあります。
1記事書くごとに「検索順位がどうなったか」いちいち気にするのはあまり建設的ではありません。
8-3.地域名+〇〇で上位を目指す
今、Googleの検索システムでは専門家の公式サイトが重視されて上がりやすくなっています。
中でも「地域名+〇〇」のワードは、競合が少なく上がりやすいです。
たとえば「地域名 離婚 弁護士」など自分の得意分野でサイト順位を上げていくことを目標にすると達成しやすいので、意識してみてください。
以上が法律事務所のサイト記事を作成するときのポイントと注意点です。今後の参考にしてみてください。
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